パリの保険屋さん

日本の年金を配偶者が遺族年金として引き継いだ場合、相続税もゼロですしそれ以後受け取る遺族年金の、所得税もゼロになります。
しかし、フランスも含めた海外の年金を日本在住の配偶者が遺族年金として引き継いだ場合、それは相続税の対象となります。相続の手続きを行い相続税を支払わなければなりません。その時の計算方法は、合計相続額を平均余命で計算し相続税額を算出します。しかし相続した遺族年金の所得税は、非課税となります。

海外遺族年金の相続税の例を挙げてみます。

フランスに長期在住就労していた夫婦が、退職後フランスから日本に引っ越しをして日本を主たる居住地とする。妻が70歳の時に夫が亡くなり、妻が夫のフランスからの遺族年金を引き継ぐことになった。この時の引き継ぐ遺族年金を年額300万円、女性の平均余命を20年とする。この時の相続金額は、「300万円 X 20年 = 6000万円」となりこの金額に規定の相続税率で相続税が計算される。相続税率が30%とすると、相続税額は1800万円となる。

この相続税金額は、現状の日本の相続税のルールです。相続した配偶者は、税務署からこの相続税の支払いを求められます。

実際に以下の例が報告されています。




上記のケースは、二人とも日本人で主たる居住地が日本でしたが、相続税がどうなるのかいくつかのケースを考えてみました。

１　フランスが主たる居住地の時に遺族年金を引き継ぎ、その後妻が主たる居住地を日本に移した場合
→ 相続はフランス在住の時に終了しているので、日本では相続税はなし

２　フランスの公的年金を日本で受け取っていた夫が死亡し、遺族年金相続の手続きをしないで妻が10年間遺族年金を受け取っていた。
→ 相続税の時効(5年または7年)なので収める必要なし

３　フランスの公的年金を日本で受け取っていた夫が死亡し、遺族年金相続の手続きをしないで妻が4年間遺族年金を受け取っていた。
→ 4年前に遡って修正申告をする必要があり、追徴課税される可能性

４　夫婦の国籍が両者または一方が日本以外の場合に違いがあるか。
→ 違いなし

相続する時に相続税は納めなければなりません。極端な話、妻が相続し相続税を払った次の日に妻が死亡した場合、相続した果実を一口も食べない前に相続税だけ支払った、ということになります。

日本の年金と海外の年金の遺族年金について、現状相続に関し大きな違いがあり不公平ということで、その是正を求めている例もあります。しかし、日本を主たる居住地にされている方またはこれからされる方は、現状をよく理解し必要ならば相続の手続きを行い、日本のルールに従わなければなりません。

上記の相続税のルールについては、日米仏の国際弁護士の橋本先生に確認させていただいております。


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ラジオ川柳　2024年10月23日

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