セーヌ川の増水によるパリの洪水の危機が続いています。
秋口から晴れ間が少なく、雨が異常に多いと感じていましたが、セーヌ川の増水としてそれが現れてきました。上記写真は、普通ならばセーヌ川沿いの自動車道からエッフェル塔が眺められるフォトジェニックな場所ですが、完全に自動車道が冠水し通行止です。国鉄・地下鉄の一部路線が冠水の危険性がある為に運行を取りやめていますし、ルーブル美術館も展示の低層部分を閉鎖しています。
パリは、盆地の真ん中にありますので、元々洪水の危険性が高く10年に1度ぐらいは今回程度の増水が発生しています。ただし、あまり報道されていませんが、パリの洪水を防ぐためにセーヌ川の上流、パリの東部・南部地域に非常に大きな犠牲を払わせています。パリでの被害を防ぐ為に、パリ東部・南部にある数カ所のセーヌ川水位調整ダムを順次閉めて、パリの水位が上がらないようにしています。その代わり水位調整ダムの上流では洪水発生。今回の増水でもこの地域の広い範囲で洪水の被害が発生しており、弊社のお客様からも洪水被害の報告があります。
パリの街を守る為・より多くの人が被害に遭わない為・洪水の被害金額を低く納める為に、パリの東部・南部の方々が被害を被る。東京都内の洪水被害を防ぐ為に三多摩を犠牲にする、横浜で言えば横浜の政治経済の中心である中区・西区を守る為に横浜の下町の南区(私の実家はココ)の大岡川を氾濫させる、です。日本では、中々理解を得られないと思いますが、フランス・パリの昔々からの決断であり決定事項です。
このような決定をしなければならないことを「トロッコ問題」と言うそうです。
簡単に説明すると ------
「大きな被害を防ぐ為に小さな被害を発生させてもいいのか」です。
この「トロッコ問題」は、今話題になっているAI自動運転にも深く関わってきます。AI自動運転になったとしても事故がゼロになることは絶対にありません。自動運転のAIがトロッコ問題を判断しなければならないケースが必ず出てきます。この究極の選択をどうするか、フランスの政治家・政府・メーカーは即断しそうですが、日本の場合は3者間の堂々巡りの話し合いになり、結論が中々出てこないのが今から目に浮かんでしまいます。
「AI自動運転時のトロッコ問題」
日本の政治家・政府・メーカーがAI自動運転のトロッコ問題で悩んでいる間に、欧米中にAI自動運転の主導権を持っていかれなければいいのですが ------
「今日の一句」
AIで AI(逢い)に行ったが AI(愛)されず
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